「アーキテクチャの生態系」(濱野智史、NTT出版)
グーグル、ブログ、2ちゃんねる、ミクシィ、ウィニー、ニコニコ動画といったウェブサービスを「アーキテクチャ」、「日本」という観点から分析しています。
現在、上記のような様々なウェブサービスが存在していて、それぞれの目的や効用がよく見えなかったのですが、この本の唯一の図である「アーキテクチャ生態系マップ」(P28-29)を見ると、それぞれの関係が一目瞭然であり、非常に腑に落ちました。
全編に渡って飽きさせず、楽しく読める本ですが、特に私は、「時間」の共有について議論している第6章が気に入りました。
『ユーチューブが動画コンテンツの共有であるのに対し、ニコニコ動画は「体験の共有」であり、”疑似同期性”により一体感(シンクロ感)を生み出している。』
なるほど、そういうことですか。
『なぜ日本のウェブ上だけにそのようなサービスが登場してきたのか?それは、2ちゃんねる、ミクシィといった日本特殊型のソーシャルウェアが土壌としてあり、さらに進化の原動力となっているのが「繋がりの社会性」である。ニコニコ動画は「繋がりの社会性」を実現するためのアーキテクチャとして生まれてきた。』
そうだったのか、そこまで言い切られると爽快ですらあります。
そもそも、人間には”つながりたい”という欲求があるらしいのですが、個々人の”つながりたい”という欲求と、日本人特有の距離感の相互作用ということが「繋がりの社会性」ということでしょうか。
さらに、
『ニコニコ動画では、「メタレベル」から動画という「オブジェクト」にツッコミを入れ、その対象をネタ的に享受可能なものへとズラしていくコミュニケーション。・・・・そのツッコミの作法こそ、まらに2ちゃんねるという先行するソーシャルウェアのコミュニケーション作法を継承したものになっています。』
ネット上のコミュニケーションの本質的な部分を指摘しているようにも思われます。コンテンツだけではなく、コンテキストまでをも共有して、よりコミュニケーションを深めていく作法の一つであると理解しました。
他の視点からの議論も面白いので、おすすめの一冊です。